step1 予備知識

実習に入る前に少しだけ、失敗をしないための基礎知識を理解してください。
下線の部分は注釈を用意してありますので分からない人・もう少し詳しく知りたい人はクリックしてください。


1.最重要予備知識:日本語を使えない! 大文字と小文字を区別する!

残念ながらPOV-Rayは日本語に対応していませんので、プログラム文中はもちろん、プログラムの名前や保存フォルダについても半角英数字でアルファベットは大文字と小文字を区別して下さい。
step3 の実習の準備では作業用のフォルダを作成しますが、デスクトップ上に作業用フォルダを作ってもPOV-Rayは動作してくれません。

2.重要予備知識:プログラム文のコメントアウト(行頭の//という記号)

実習で使うプログラム文中の行頭に // という半角スラッシュ2文字の記号がついている緑色の行があります。行頭にこの記号がついたプログラム行は無視される約束になっていますので、実習を進める際には、プログラムの段落ごとにこの記号を削除して有効にしていきます。
なお、プログラムは1文字でも間違えたり消してしまったら全く動作しません。(何人もの生徒が失敗して困っていました)
失敗を防ぐために、この記号の削除を行うときは、キーボードの矢印キーを使って行頭にカーソルを移動させ、デリートキーで削除することを勧めます。

3.重要予備知識:仮想空間の座標

コンピュータが仮想空間内に物体や光源の位置を決めるために、数学で習った座標を用います。ただし、3次元(3D)なので、左右のx座標、上下のy座標の他にもう1つの奥行きのz座標を用います。
POV-Rayの初期設定では、仮想空間の原点から右方向をx軸の正方向、原点から上方向をy軸の正方向、原点から奥方向をz軸の正方向としてあります。
POV-Rayのプログラム内では物体の位置を <x座標,y座標,z座標> で表していますが、特に位置を指定しないと、その物体は原点を中心に置かれます。
この <x座標,y座標,z座標> と同じ表記で全く違う情報を表すこともあります。実習の中ではその説明をしますので安心して下さい。

4.CGの予備知識:アンチエリアシング

アンチエリアシングという技術を使うと、物体の輪郭が滑らかな画像を得ることができますが、コンピュータの計算にかなりの負担をかけて、描画が遅くなってしまいます。
上手な実習方法として、画像サイズの選択で [320x240, No AA] 程度の小さめのサイズでアンチエリアシングを使用しないで実習を進め、完成したら最後のレンダリングを [640x480, AA 0.3] (900KBサイズなのでフロッピーディスクに入ります)のような大きなサイズでアンチエリアシングを使用して実行しましょう。

アンチエリアシングを使用した例(左)としない例(右)示します。輪郭部の滑らかさと遠方の模様の違いが分かりますか?


5.CGの予備知識:レンダリングとレイトレーシング法

コンピュータが仮想的に作った図形や物体、景色に光の影響を考慮して計算し、画像として出力する作業をレンダリングと呼びます。
POV-Rayは用意してある基本図形と質感を組み合わせて物体を作り、レイトレーシング法というレンダリング技術を用いたレンダリングソフトです。

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【以下は注釈です】

※1 半角英数字について。マイドキュメントは?

POV-Rayは残念ながら日本語の文字を解読できませんので、プログラム文中にはもちろん、ソースファイルの名前にも、その上の階層のどのフォルダの名前にも日本語が入っていてはいけません。例えば、デスクトップ上に作業用のフォルダを作っても「デスクトップ」という日本語名のフォルダの下にあることになりますから正常に動作しません。マイドキュメントは内部では「My Documents」という半角英数字のフォルダ名で扱われるので、この実習ではマイドキュメント内に作業用フォルダを作ることで話を進めます。
なお、プログラム文中ではアルファベットの大文字と小文字の区別を間違えただけでも動作しませんので注意して下さい。色の名称も Green のように先頭だけ大文字になっています。


※2 フォルダの新規作成方法

マイドキュメントを開いて、空白の部分を右クリックします。現れたメニューから「新規作成」→「フォルダ」をクリックすると、『新しいフォルダ』という名前が反転選択された状態のフォルダができます。この名前が反転選択された状態のまま、「povray_work」などの名前を入力してください。


※6 同じ表記で全く違う情報とは

いくつかの例をあげますが、応用したデザインをするために役に立つと思います。
・translate<1,2,-3> という命令で、物体はx軸の正方向に1、y軸の正方向に2、z軸の負方向に3移動します。
・scale <2,0.5,1> という命令で、物体をx軸方向に2倍、y軸方向に0.5倍、z軸方向はそのままに拡大します。
・rotate<30,0,0> という命令で、物体はx軸を中心軸として、x軸の正方向を見ながら左回り(反時計回り)に30度だけ回転します。
・rgb=<1,0.5,0> という命令で、赤100%+緑50%+青0% の色を表示します。


※3 アンチエリアシング

コンピュータで扱う画像を四角いピクセル(画素)が見えるほど拡大してみると物体の輪郭部分がギザギザ(ジャギーと呼ぶ)になっています。拡大しないにしても上に示した例のように輪郭部分にギザギザが感じられることがあります。この状態をエリアシングといい、境界部分のピクセルに中間色を配色して輪郭を滑らかに見せる(錯覚させる)技術をアンチエリアシングと呼びます。
当然、この技術を利用した方がきれいな画像が得られますが、コンピュータには計算でかなりの負担をかけてしまい、POV-Rayのレンダリング動作が遅くなってしまいます。
もちろん、大きな画像サイズで描画させることもPOV-Rayのレンダリングに時間をかけることになります。

アンチエリアシングを使用した例(左)としない例(右)の拡大図を示します。



※4 レンダリングとモデリング

レンダリングにもスキャンライン法やZバッファ方などさまざまな技法があり、それぞれが長所・短所を持っています。POV-Rayのレイトレーシング法は反射・屈折による映り込みに優れた技法です。
また、人形などの物体を作る作業をモデリングと呼びます。フリーウェアのモデリングソフトとして、この教材集に『メタセコイア』があります。メタセコイアでモデリングして、POV-Rayを含む他のレンダリングソフトで光源やカメラを設定してCGを作るという手法があります。
実際の映画用の動画CGを作るソフトとしては、高額ですが『Maya』が有名です。


※5 レイトレーシング法

光線追跡法、または視線探索法とも呼ばれています。このレイトレーシング法では、コンピュータの仮想空間でカメラを設置した位置から描画サイズのピクセルの数だけの視線(レイ)を発して追跡(トレース)し、物体に当たったときのその物体の色情報に加えて鏡面反射や透過・屈折効果によって得られる色情報を合成して計算した色を、それぞれのピクセルに割り当てるのです。光の複雑な現象の表現に向いているので、この実習ではその特色を活かした金属やガラスを基本題材にしています。言葉で説明すると難しく感じますが、POV-Rayのレンダリング実習を進める中で理解が深まると思います。

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