2011年7月16日 (土)

納得研究会:本年度第3回研究会に参加

14時より、国立東京近代美術館にて。標記研究会に参加。

講師は東京国立近代美術館・研究員である一條彰子さん。
常設展の作品2・3点を選んで「ギャラリートーク(対話型鑑賞)」を実際に体験し、その後、館内会議室にて協議を行なう(さらに、館外での懇親会)という企画。

帰宅後、「VTS(Visual Thinking Strategy)」について調べてみた。VTSジャパンのサイトにある、京都造形芸術大学のナビゲーター養成セミナーStep1の講義レポート(PDF)受講生アンケート要約(PDF)が分かりやすい。

今回のナビゲーター(ファシリテーター)は一條さんと川上さん。14名ずつの2班に分かれて1時間のギャラリートークを体験する。私は(誕生日が)偶数月班に入り、一條さんと行動した。

2階の常設展会場に移動し、まずは、ガラスを隔てて向かい合って立つ鋳鉄の像を鑑賞。

ギャラリートークの様子 ギャラリートークの様子

一條さんの発問「What's going on?」に対して、参加者は感じたことをコメントしていく。外から見て、横からみて、人のコメントを聞いて、時間の経過とともに、新たに感じたことを自由にコメントする。一條さんは、特定のコメントを評価することなく、常に新しいコメントが出やすいようにファシリテートしていく。作品についての情報提供は一切しない。
分かりやすくいうと、鑑賞しながらブレインストーミングをしていることになる。

参考までに、作品のキャプションは、「アントニー・ゴームニー(英)1950- 反映/思索(英語タイトルはRefrection) 2000年 鋳造」

次に、絵画展示場の最初の絵の前に移動。参加者は床に腰をおろして鑑賞し、自由にコメントしていく。
意見が出揃ったところで、参加者の一人に作品のキャプションを読み上げてもらう。
「作者:大岩オスカール1965- 題名:ガーデニング(マンハッタン) 2002年作」という情報が入ると、2001年の9.11事件を絡めて、さらに新しいコメントが出てくる。

参加者全員の「合意」ではない、もちろん「作者が作品に込めた思い」でもないが、その場の「共同感覚」というものが生まれてくる。

ギャラリートークの様子 ギャラリートークについての協議

1時間の「ギャラリートーク」による鑑賞を終え、館内の会議室にて協議を行なった。約30名の納得研究会参加者に、10名ほどの東京国立近代美術館のガイドスタッフ(サポーター)も加わった。このガイドスタッフの皆さんは、「ギャラリートーク」中の我々の様子を観察しておられた。

■途中まで記述。後日補完します。


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2011年4月 9日 (土)

納得研究会:今年度第2回に参加

14時から16時30分、立教大学池袋キャンパスの会議室にて

立教大学は学生時代に一度来たことがあったが、正門近くまで地下街が伸びて便利になった。小雨あがりの天候が残念だが、落ち着いたキャンパスに満開の桜が映える。

立教大学本館を望む

本部と道を隔てた文学部の校舎にて、20名を超える参加者で会議室は満員。
納得研究会は大学の先生や、院生だけでなく、民間の方、小学校・高校の先生と多様なメンバーの研究会。毎回、2人の話者の発表があり、質疑応答をして納得していく。

■報告1.国語科デジタル教材の開発を巡って(関東学院大 山下俊幸氏)
昨年11月の補正予算で復活した、総務省・文科省の英語をはじめとした先導的デジタル教材の研究開発(PDF)の国語科教材の開発に携わっていることから、教科書会社3社が提携した一人1台の専用PCを使った実証研究のプランを紹介し、国語科にPCを活用する意義とその学習環境デザインについてお話いただいた。

施策の概要は、

外国語活動( 英語)、国語、算数について、デジタル教材の活用を. 促進する先導的な研究開発を実施し、デジタルコンテンツのモデル開発を行なうことにより、21世紀を生きる子どもたちに求められる力を育む教育を実現し、子どもたちの学力向上を図る。
ということ。

具体的には、B5サイズのCM1という実験機を使って、国語科では小学校4年と5年を対象としたコンテンツを作成し、3教科で全国にパイロット校50校で検証していくという。

話題のデジタル教科書や今後の「情報科」への影響など、考えさせられる話題であった。

■報告2.科学実践としての理科教育(立教大 吉岡有文氏)
昨年度の博士論文から報告していただいた。
吉岡氏が都立高校教員時代から取り組んでこられた理科教育の在り方についての研究の集大成である。
理科教育の危機の問題点を掘り下げて、この危機の回避のために「科学実践」を導入する試みについて話していただいた。

吉岡氏の過去の論文にも「学びの同伴者としての教員」という言葉が出てくるが、私も全く同感である。総合学科である本校の特色科目(産人・コミュ二ケーション・視点・探求)は、正に教員が同伴して、生徒と共に学びを深めていく。
私は、受験科目が「教える」という上下関係になりがちなことに対する警鐘と捉えた。

公私ともちょっと忙しいが、頭をリフレッシュするいい機会になりました。
話者の方、幹事の方、有難うございました。

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2010年10月 9日 (土)

納得研究会:多摩動物公園にて

多摩動物公園にて、「動物園での学び」を納得する

総合学科なので、3年次生は課題研究を行っている。動物園に関係するテーマで研究している生徒に声をかけてもらったところ、4名が名乗りをあげた。納得研究会のみなさまには、高校生の参加を認めていただいた。

生徒とは10時30分に正門で待ち合わせ。なんと、彼らは開門時から見学していた。

トラ カンガルーの食事

11時から納得研究会のメンバーと合流し、一般向けのガイド「チンパンジーのくらし」に参加。

綱やハンモックで遊ぶチンパンジー 木の枝でUFOキャッチャー

チンパンジーに頭を使わせるため、同時に、見物客に楽しんでもらうための仕掛けが用意されている。解説員は、個々のチンパンジーの動作に合わせて、臨機応変に解説をする。もちろん、個々のチンパンジーの名前をつかって。

この解説員の草野さんが、今回の納得研究会の話者。
午後は、アジアゾーンを歩きながら「絶滅に瀕した動物」をテーマにガイドしていただいた。

解説中 メモを取る高校生

今まで気にしてこなかったが、動物園は「絶滅に瀕した動物」の博物館でもある。繁殖には血縁のない雌雄を確保する必要があるので、全国の動物園のネットワークで個体の貸借を行っている。多摩動物公園はニホンコウノトリの国際血統登録を担当し、その繁殖に力を入れている。

解説員の説明により、動物園観が変わってしまった。
さらに、室内で講義を受ける。ガイドの方法や学校への教材の貸出など、「動物園での学び」のデザインという感じ。

キリンの模様の色を質問 説明に納得

生徒を引率してくる学校の先生には、事前学習用のグッズを貸し出している。理屈(知識)を先に言ってしまうと、見物がつまらなくなるので、その教材には扱いのマニュアルが付いている。いくつかの教材で、その説明をしていただいた。ヒョウとシマウマのお面は、目の(穴の)位置によって視界が異なることを理解できる。

ヒョウとシマウマのお面 キリンとシマウマのフン

乾燥させた動物の糞の匂いを嗅いだ。こういう体験は、現地に行かないとできない。
高校生にも、教科書とインターネットで得られる知識は限られることを実感してもらえた。

閉園時間の17時に解散。草野さん、ありがとうございました。

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2010年5月 2日 (日)

納得研究会:横浜国大にて今年第2回目

昨日の14時~16時。横浜国大にて納得研究会が実施された。

昨日のエントリのように、昼まで歴史探索で横浜を納得した。上台橋から大通りに降りたところでタクシーを拾い、横浜国大の中央図書館に移動。同僚のN先生と合流。

本日の発表のお題と紹介文は、

1.「横浜清陵総合高校のキャリア教育の実践」 私とN先生より
三年間を「産業社会と人間」「コミュニケーション」「視点(総合的な学習の時間)」「探求(課題研究・総合的な学習の時間)」という、4つの特色科目を柱として職業観・勤労観・生きる力を養っている。さらに、夏休みはインターンシップ活動やボランティア活動を推進して、実践で学びをさらに深化させている。特に、2年次で全員が学ぶ学校設定科目「コミュニケーション」では、コミュニケーションスキルの獲得だけでなく、「インタビュー実習」を通して実践的キャリア教育を行っている。この実習は、自分の進路や関心に応じた社会人に、自らがアポイントをとってインタビューをするというもの。希望の社会人にインタビューを受けていただくために、夏休み中に何度も電話連絡や手紙のやり取りを行う。このプロセスは、大学生が就職活動をすることと似ており、将来の進路を真剣に考える機会になっている。3年次の「探求」では、自らがテーマを決めて課題研究を行うが、「産業社会と人間」「コミュニケーション」での体験が活かされてくる。インターネットや書籍で調べる学習だけでなく、積極的にフィールドワークや取材を行う様子には、キャリア教育の成果が表れている。年度末には、各科目の発表会から選出された代表による、学校全体の特色科目発表会を行う。下級生はこれからの学びを知り、上級生は自分の成長を振り返り学びを深化させる。また、全校生徒、全職員がキャリア教育の成果を共有するという効果がある。
この取り組みは言語活動の充実にも繋がるものと考えています。成果を検証するために各方面の方々よりご意見をいただけたら幸いです。
2.「花毛布 ―その歴史と継承―」明海大学准教授 上杉恵美様
毛布を花や自然の風景、動物などの形に折って船室の寝台に飾る「花毛布」は、100年以上の歴史を持つ日本船独自のもてなしの伝統であり、戦前の客船全盛期には、日本の船会社は競うようにして「花毛布」のサービスを提供した。
「花毛布」は、船会社間における船員の移動や業務提携を通して広まり、客室担当乗組員の間で口伝により、代々折る技術が継承されてきた。「花毛布」は船上から徐々に姿を消しつつあるのが現状だが、マニュアルの作成や実演の開催、映像記録等、伝統の保存と継承への取り組みがなされている。録等、伝統の保存と継承への取り組みがなされている。

私どもの発表は別途報告するとして、全員が引き付けられた明海大学ホスピタリティー・ツーリズム学部の上杉先生の発表について紹介したい。

上杉先生は、「花毛布(別名:飾り毛布)」をホスピタリティー(おもてなし)の一つの象徴として、積極的に調査活動・伝承活動を行なわれている。講師を招いて学生に指導してもらったり、ホテルに紹介して普及活動を行なっている。
この花毛布のサービスを行なう船乗員は、もっぱら調理担当の司厨員で、調理の合間の限られた時間に行なうたという。口伝で後輩に伝えてきたが、コツの修得が難しく、一人前になるのに10年以上かかるそうだ。昔は娯楽が少なかった船旅だからこそ、このおもてなしが船会社のアイデンティティーを示してきたのだろう。

私も興味を持ち、ネットで調べてみるとYouTubeにありました。それも上杉先生がテレビ出演しているもの。
●伝統の技「花毛布」 御もてなしの心を伝えたい
http://www.youtube.com/watch?v=lHO1qJrrwts&NR=1
関連の、
●花毛布の折り方
http://www.youtube.com/watch?v=L9vspBTqTRk&NR=1
も参考になりました。

前者のビデオの冒頭で、横須賀にある海洋研究開発機構の海洋調査船「かいよう」の事例が紹介されている。花毛布の技を伝えている数少ない施設のひとつだという。日本海洋事業の立木さんは「わが社の伝統だから、残していかなければいけない」と後継者の育成にあたられている。また、上杉先生は、花毛布を研究してその魅力を知らせることで伝統を残したいと考えておられる。

ホスピタリティーを課題研究のテーマにしている生徒がいるので、花毛布について教えてあげたい。つい先日、この生徒がN先生に研究の相談をしていたばかり。上手くいけば、校内での発表だけでも、760人の生徒に伝えることができる。

海洋研究開発機構は、横浜清陵総合高校が大変お世話になっている。1年次生の「産業社会と人間」の「社会人講話」と「事業所見学」、夏休みの「インターンシップ受入れ」と、開校以来7年間のご協力をいただいている。色々なところで偶然を感じる。

5月22日に「かいよう」の体験乗船があるが、同日、お台場の船の科学館では、午後2時から「飾り毛布制作実演」がある。
はしごは厳しいだろうなぁ。

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2010年5月 1日 (土)

納得研究会:神奈川台散策

納得研究会の企画で、東海道の神奈川台の地形と茶屋を検証した

午後の研究会が横浜国大で行なわれるので、その前に「横浜を納得する」べく企画された。案内役はまち研究所の重盛氏。かつて、横浜市歴史博物館の展示全体をプロデュースされた方で、神奈川宿の茶屋「さくら屋」の想定再現模型と、この土地の当時の想定模型を手がけてこられた方で、博物館・科学館の構想・基本計画・運営計画をされている。

重盛氏の案内による行程は

1.横浜市歴史博物館
江戸時代の神奈川台の地形模型と神奈川宿の茶屋「さくら屋」の模型を見学
2.神奈川区台町の田中家
旧東海道の神奈川宿そばの海に面した高台。この神奈川台の地形と料亭田中家(模型さくら屋の後身)を見学。
3.鶴屋町三丁目の上台橋
旧東海道を神奈川台から保土ヶ谷方向に下っていくと、大通りの上を渡る橋になっている。江戸時代の地形と土地開発を検証する。

横浜市歴史博物館の地形模型によると、青木橋から浅間下の環状1号線から横浜駅方面は海だった。この環状1号から北側が急斜面で丘になっているが、旧東海道は神奈川宿(現在の京急神奈川駅付近)からこの丘(現在の台町)の上を通って保土ヶ谷方面に抜けていたことが分かった。丘の上で海の展望が良いので、茶屋が軒を成していたのだ。
展示物の画像を紹介できないのが残念ですが、音声解説付きのさくら屋の模型は一見の価値あり。興味のあられる方はご見学を。

横浜市歴史博物館の「さくら屋」の模型の説明によると

茶屋「桜屋」と東海道の旅人たち
神奈川宿の台町は、かつては海に面した高いところにあり、神奈川から本牧までの海をみわたせる景勝の地でした。そのため、台町には旅人が休む茶屋が多くありました。桜屋もこの茶屋の一つで、東海道を往来する旅人や、江戸からの行楽客でにぎわいました。桜屋の位置は今の料亭田中家あたりといわれています。
当時の絵入の書物である「金川砂子」や「江戸名所図会」、また神奈川宿を題材にした浮世絵には、桜屋が描かれています

市営地下鉄ブルーラインで、センター北駅から横浜駅に移動。ライオンでランチを取ってから散策開始。

丘の上を環状1号と並行に走る旧東海道に急階段を登って出ると、散策の案内図があった。
西に行くと上台橋、東に行くと茶屋 神奈川台関門跡

神奈川区のサイトにこの地区の案内が紹介されているが、残念だが今回の散策目的については触れられていない。写真の案内図にも使われている散策案内図で確認すると、台町の茶屋~関門跡~上台橋が今回の移動範囲になる。

「文久三年 田中家」の看板の料亭にたどり着く。今でこそビルに囲まれているが、ここから南に海が広がる眺望は素晴らしかっただろうと想像する。

田中家 観光案内

「神奈川宿」の観光案内によると

神奈川宿
神奈川宿は日本橋を出て三番目の宿場町です。現在の台町あたりは、かつて神奈川湊を見下ろす景勝の地でした。この神奈川が一躍有名になったのは、安政元年(1854年)の神奈川条約締結の舞台となってからです。その四年後に結ばれた日米通商条約では神奈川が開港場と決められていましたが、後に横浜に変更されました。
田中家
神奈川宿がにぎわっていた当時から続く唯一の料亭が、文久三年(1863年)創業の田中家です。田中家の前身の旅籠「さくらや」は安藤広重の「東海道五十三次」にも描かれた由緒正しき店名です。高杉晋作やハリスなども訪れました。
坂本龍馬の妻「おりょう」
「おりょう」が田中家で働き始めたのは明治7年。勝海舟の紹介で働いていたと伝えられています。英語が話せ、月琴も弾くことができた「おりょう」は、外国人の接待に重宝されていました。

田中家から、旧東海道を西に戻り、上台橋にて。伸びる道路が下ってきた旧東海道。

上台橋と散策メンバー

この橋の下には、市営地下鉄が下を走る鶴屋町3丁目から横浜駅に向かう大通りが通っている。一見、この橋が後からできたように思えるが、旧東海道ということを考えると、丘の一部を切り崩して大通りを作り、丘の上にあった旧東海道を橋として残したということだろう。

博物館で予備知識を得て、現地踏査するというフィールドワーク。歴史に素人の私でも十分堪能することができました。案内役の重盛さんと、企画をした有元先生に感謝!

■後記:悠々人の日本写真紀行の旧東海道五十三次ぶらり徒歩の旅(9)に、このルートの説明がありました。

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2009年12月27日 (日)

納得研究会に参加

青山学院大学青山キャンパスの一室にて、標記研究会に初参加

午前中はPC教室の開放を兼ねて、課題研究「探求」の年次発表会のDVDを焼き増して、各方面に発送する作業。メール便速達ならば180円で翌日に届く。

渋谷駅から宮益坂を登って青山学院大学へ。日曜日ということで正門の通用口から入り、会場の教室には地下守衛室から。青山学院大学院に在籍している練馬高校の吉岡有文先生が案内してくださった。

この研究会のことは別系統で吉岡先生と海洋科学高校の若林先生から伺っていた。青山学院大学の佐伯胖教授、横浜国大の有元典文准教授らを中心に、認知科学や教育学および多様なジャンルの発表とディスカッションが行なわれているという。本日は若林先生の発表もあるということで、初めて参加させていただいた。

若林先生の発表

20数名参加。2人の話者の発表について、随時かなり自由に意見を述べ合うという形式で、13時過ぎから16時まで。発表者も参加者からの意見を求め、有識者の意見が大変刺激的だった。勉強させていただきました。
論文発表の準備のために発表される方も多いと聞いて、納得した。

少し早い時間からの忘年会に参加。近いうちに発表することになるだろう。

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