2011年6月12日 (日)

第53回ICTE情報教育セミナー in 早稲田

昨年に続き、標記のセミナーにてポスター発表を行った。

講演は黒上晴夫教授(関西大学)の「高等学校における情報教育の役割」、ポスターセッション後のパネルディスカッションは「教科情報のデジタル教科書・教材を考える」。大学の先生方からは新鮮な情報を得ることができた。

講演 パネルディスカッション

この間がポスターセッションの時間帯。一緒に「高校における情報デザイン」を研究してきた磯崎先生、「Squakとアルゴロジック」を研究してきた千葉県の谷川先生の発表の様子。

磯崎先生の発表 谷川先生の発表
 
私の発表は、ポスターセッションというより、机を借りてのワークショップ。
「データのばらつきを調べる」というテーマで、上月情報教育研究助成を受けて一緒に教材開発をしてきた県立海洋科学高校の若林先生の実践教材を応用させていただいた結果を報告した。

ワークショップの様子 切ったテープを貼ったワークシート

■授業実践を行う前の生徒の状況
本校では、5月から表計算ソフトの基本的な使用方法について、50分5コマをかけて学習してきた。関数「最大値」「最小値」「合計」「平均」「条件分岐」「順位づけ」「条件つきカウント」と「相対番地」「絶対番地」の概念、「ソート」と「グラフ化」の技術を扱った。生徒はこれらを概ね理解しているが、自ら表計算ソフトを活用する題材を持っていない。

■授業展開(10㎝はどれくらい?)

  1. はがき(100㎜×148㎜)を配布する。はがきの短辺がちょうど10㎝であること教え、この長さを親指と人差し指を開いて示させる。長さを覚えたら、はがきを回収する。
  2. 紙テープを配り、目分量で10㎝の長さに切る。(ひとり10本)
  3. ものさしを配布し、切った紙テープの長さを1/10㎝の精度で測定して記録する。
  4. 6名のグループで、互いの測定値を交換して記録する。
  5. 個人のデータと、グループのデータを表計算ソフトに入力する。
  6. 個人データを最小値と最大値の間で1/10㎝刻みにカウントし、度数分布のグラフを作る。
    【以上で1時間。個人データを回収し、教員がクラス全員のデータをまとめておく。】
  7. グループのデータを、同様にカウントし、度数分布のグラフを作る。
  8. 教員がまとめたクラス全員のデータから、同様にカウントし、度数分布のグラフを作る。
  9. 個人、グループ、クラス全員のデータそれぞれの度数分布を比較し、考察する。

※「情報B」のクラスでは、ストップウォッチで感覚の10秒を測定する。前述の紙テープの切り出しと同様に、個人、グループ、クラス全員のデータの度数分布を比較し、さらに、クラス毎の標準偏差を求めてバラツキの度合を比較してみた。

■ポスターの掲示
 まずは、三宅なほみ先生の実践をヒントに若林先生が高校の授業で実施し、私が2パターンで実施たことの説明のポスター(PDF)。正規分布と標準偏差の解説に繋がり、新しい教育課程の数学Iに追加された「データの分布」に直結することを示した。
 情報Aのクラスで実施した、テープカットの実習(10㎝はどれくらい?)の作業と度数分布図(PDF)
 情報Bのクラスで実施した、ストップウォッチの実習(10秒はどれくらい)の作業と度数分布図、教材としての発展性(PDF)

■データ分析の可能性
 情報Bで行ったストップウォッチの実習は、5回連続で測定することを3ラウンド繰り返した。生徒には、分布図作成以外にどのような分析をしたいか発問したところ、
 ・ラウンド毎のバラツキ(偏差)に、減少する傾向があるかどうか調べたい。
 ・例えば2連続で10秒0が出るようになるには、何回ぐらい測ればよいか調べたい。
などの意見が得られた。次回実施する際には、その問題解決のためにはどのような実験を行えばよいか、生徒と教員が一緒に考える時間を取ろうと考えている。バラツキというどこにでもある題材なので、適切な方針を立てれば課題研究に発展することも可能であろう。

■教材としての妥当性と発展性
 生徒は、自分の目分量の誤差、自分と他者のバラツキとの違いに興味を持って度数分布図の作成に意欲的に取り組み、その過程でデータ量が増えても処理・加工の手間は変わらないことにも気づいた。実習後に紹介した正規分布と偏差値の話にも興味を持った。
 どのクラスでも、データの数が増えるにしたがって、正規分布に近い分布が得られたが、最大値・最小値と標準偏差を比べるとクラスによるバラツキの度合いが異なった。長さを指導する教員の説明によって差が出た可能性がある。しかし、普通教科情報の授業教材としてはこの厳密さまで考慮しなくても良いと考え、教材として妥当なものと判断する。
 実は3色のテープを用意して実習を行った。つまり、(白と黒の碁石の直径が異なるような)色の特性によって、平均値とバラツキに影響が出るかという調査研究を個人的に考えていた。残念ながら、今回は色の違いによる顕著な特徴は分からなかったが、どのような方法をとれば検証することができるか、生徒と共に考えることも興味深い題材である。
 多くの方にアレンジして実践していただき、成果を共有できることを期待している。

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2009年7月27日 (月)

情報部会:第1回研究会の実施

湘南台高校にて、この夏第1回目の研究会が実施された。

「情報デザイン」をキーワードに4本の発表があり、19名が実習やワークショップを楽しんだ。

(1)湘南台高校の諏訪間先生
地図を比較する事例 生徒作品の掲示物

「情報デザインの手法を取り入れた、情報の授業」というテーマで、地図やチラシ作りを題材にした、受け手の視点に立った情報発信」を指導事例、作品例などを交えて紹介。廊下には、カップ麺を食べるまでの手順を図解した作品が掲示してあり、実践の様子が良く分かりました。

(2)横浜清陵総合高校の五十嵐(私)
「伝えたいことを校内ポスターに表現するポイント」というテーマで、指示用事例と、生徒の作品を使って紹介させていただいた。
次に、Publisherを使っての実習を2つ。
●タイトルの作り方(フォントの選び方、行間、トラッキング・カーニングによる文字詰め)、本文の適切な行間と、テキストボックスのリンク機能の実習。
●イラスト素材を自分で作れるように、かえでの葉っぱとハートをベクトル描画する実習。

(3)日本学園高校の磯崎喜則先生
ワークショップの解説 635法からKJ法へ

「平成25年度に向けて高校情報教育の検討」というテーマで、コンピュータ教育から情報デザインへの提案。公開されている提案をさらに深められていた。
次に、発想法のワークショップ。マンダラート法と635法を組み合わせ、KJ法に発展させるというワークショップ。発想と調整力が鍛えられた気がした。

(4)海洋科学高校の若林庸夫先生
会場の様子 実習中の様子

「情報デザインの要素を取り入れた教材開発と実践」
というテーマで、「スパゲティーカンチレバー」のワークショップ。公開されている実践報告があるが、実際にグループワークで取り組んでみると、観察力や問題解決能力という情報を利活用する力の育成に役立つことが分かった。

最後に、新しい学校の開設準備に関わっておられる保副先生より、準備会議で実践している「ワールドカフェ」の様子を紹介していただいた。

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2009年7月19日 (日)

情報部会:第1回研究会発表者の打合せ

午後から湘南台高校に移動して、27日の研究会の段取りを打ち合わせた

今年の第1回研究会は、「高校での情報デザイン」を模索しているグループから4名が実践報告・ワークショップを用意した。

本日は、会場の下見と時間配分、役割分担を行った。また、上月情報教育研究助成を受けているので、今年度の研究方針について議論した。この時点で、普通教科情報の2科目と専門教科情報の科目「情報デザイン」の学習指導要領解説がまだ出ていないのだが、内容が新学習指導要領のどの部分に対応するかを見極めながら実践と検証を進めていく。できれば小冊子を作りたいと目論んでいる。

8月24日の全国高等学校情報教育研究会の第2分科会は、大会のサイン計画と共に、今日の3人の発表となる。私は、分科会は別内容だが、ポスターセッションにて情報デザインの実践報告をさせていただく。

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2009年6月12日 (金)

高校情報デザイン教育研究会:高校教員の打合せ

17:30より、神奈川県民センターの会議室にて標記の会合

4名の高校教員が集まり、それぞれの実践を「高校向けの情報デザイン」にどのように位置づけるかを話し合った。また、8月24日の全国高等学校情報教育研究大会では、分科会とポスターセッションの発表を募集しているので、何らかの形で協力していきたい。

けして「アート」では迫らない。むしろ、「アート」が苦手な生徒も教員もが参加できる「万人のための情報デザイン」の確立を目指していく(というと大げさか)。普通教科が縦糸とすると、「情報」はそれらを結びつける横糸となる。「発想するためのトレーニング」「思いを伝達するためのトレーニング」から、「適切な表現方法」まで、幅広い分野をカバーすることになる。長期・中期・短期のゴールを用意して実践研究を続けていく。

会議室を用意した1時間半があっという間に過ぎた。場所を代えて懇親会というか本番の会議。

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2009年3月21日 (土)

上月情報教育研究助成事業:助成決定通知が届く

「情報デザイン」について第17回上月情報教育研究助成事業に応募していた。

3月18日付けの助成決定通知書が届いた。早速同サイトでも公開されている。

「情報デザイン能力を育成するための実践的カリキュラムの研究
 ~問題解決型の学習で利用できるシラバス・教材・授業手法の開発~」

というテーマで、
高校情報デザイン教育研究会の高校教員と神奈川県情報部会の有志グループで申請していた。過去の経験から代表として申請させていただいたが、広くて深い内容なので協同研究でなければこなせない。

昨年の第1回全国高等学校情報教育研究大会では、「情報デザイン」に絡む発表が多く、脚光を浴びたキーワードだった。コンピュータ操作教育やプログラミング教育、情報科学教育とは異なる、重要かつ実用的な分野だと考えている。

上級学校の
小池星多先生(武蔵工業大学環境情報学部准教授)
上平崇仁先生(専修大学ネットワーク情報学部准教授)
浅野智先生(横浜デジタルアーツ専門学校教務次長)
・井上順子先生(日本電子専門学校教員)
には、研究助言者を依頼してある。(よろしくお願いいたします)

新しい学習指導要領で新設された情報科専門科目「情報デザイン」。既存の「コンピュータデザイン」からどのように変容していくのか、先を読みながら、高校教育で実用できる内容を研究していきたい。

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2009年3月17日 (火)

高校情報デザイン教育研究会

夜、第2回の標記研究会に参加。会場は明大前の日本学園

研究会のメンバー磯崎氏のご尽力により、素晴らしい会場を提供していただいた。高校教員5人と専門学校の先生4名が参加し、高校教員は実践事例報告、専門学校の先生は俯瞰した立場で理論的な解説を20分ずつ。どの発表も充実していて、刺激に、そして勉強になりました。

いい地図とは 反省とリフレクションの違い

12月5日の第1回から、1月6日のワークショップを経て、高校入試が間に入って少し間があいていた。しかし、時間があった分、各メンバーは試行を凝らしていたようだ。

発表者とその内容については、メンバーの報告をご覧ください。
(新)情報デザイン研究室(浅野先生のblog)
Today’s リフレクション(高田先生のblog)
知らバス(若林先生のblog)

また、この研究会のブログも立ち上がりました。乞うご期待。
高校における情報デザイン教育研究会

次回は4月下旬に開催の予定。興味関心のある方はご一報を。

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