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2010年8月18日 (水)

SSS2010情報処理学会情報教育シンポジウム:初日

伊香保温泉のホテルにて、標記シンポジウムに参加

このシンポジウムは2006年(箱根仙石原)、2007年(鈴鹿)以来の参加。今回は1泊だけの参加だが、夜のデモンストレーション&ポスターの部で発表させていただく。
発表の題材の一つであるSqueak eToysは、SSS2006での発表を聞いて知ったもの。実践報告として恩返しになれば幸いです。

開会挨拶の後、13時より招待講演1
■大阪電気通信大学の新川拓也先生による「くらしの技術~Living Technologyの展開~」

招待講演1 くらしの技術の発表

夕食までは、一般講演として高校の情報教育に関する発表が続く。夕食後のデモンストレーション&ポスターの設定とともに、明後日から金沢で全国高等学校情報教育研究大会が行われるための配慮。
神奈川県の高校教員も、計4名が発表する。

保副先生の発表■保副やよい先生(神奈川県立相模向陽館高校)
「情報Bにおけるプログラミング実践の報告」

高校教育で「情報B」の選択が少ないことの理由にプログラミング・アルゴリズム教育を教えられる(教えたい)教員が少ないことが指摘されている。
保副先生が、プログラミングを授業として実施するための問題点として、特に3つを挙げておられた。
 ・生徒の意欲・関心の問題
 ・達成感を得る難しさ
 ・教員の経験の問題
全く同感です。
デモンストレーション&ポスターの部で、ドリトルよりもさらに容易くアルゴリズム教育ができる、スクラッチとスクイークを紹介する。個人的には「情報と科学」の採用を増やすためのキーは「アルゴリズム教育」を教えたいと思う教員を増やすことで、その教育に役立つツールを広めることが、今まさに必要だと考えています。神奈川県情報部会の研修会や、総合教育センターの研修会を利用して、県内の先生方にスクラッチとスクイークの実習を体験していただいている。「これなら教えられそう。これなら生徒も興味を持ちそう。自由に作品を作らせることができそう。」という気になってもらうことを念頭に置いてきた。保副先生とは、優先順位が異なるが正に一致している。

質疑では、「教える先生が楽しんで教えているから生徒がついてくる。」という意見が出た。これもまた同感。TTで教える場合は、サブのTの先生にも興味を持ってもらわなければいけない。スクイークを授業で扱っている者として、サブの先生への配慮は必須だが負担もある。

間辺先生の発表■間辺広樹先生(神奈川県立秦野総合高校)
「アンウラグドを活用した公開鍵暗号学習プログラムの情報科教育への適用」

『コンピュータを使わない情報教育 アンプラグドコンピュータサイエンス』の第14章の「ツーリストタウン」の授業実践を、わかりやすい図解を用いて楽しく説明してくださった。間辺先生とは長いおつきあいだが、常に新しい発想でしっかりした研究をされておられ、敬服している。
夜のデモンストレーション&ポスターでは同じ時間帯に発表するので、詳しく聞くことができない。聞き手を取られそうということと合わせて、残念。

西野先生の発表■西野洋介先生(都立八王子桑志高校)
「高等学校k産業科による3学年同時のドリトルによるプログラミング実習」

専門学校で、プログラミングというとゲームを作成したいという希望で入学してくる生徒が多いという。西野先生は、実際の授業でプログラミンング嫌いを作らないように「動いた達成感を体験させる」ことを強調しておられた。
これは、保副先生と私にも共通することで、プログラミング教育を行った教員は誰もが思うことだろう。

前年度までは、1年次にJAVAを教えていたそうで、2年次生以上にプログラミング嫌いが多かったという。今年は、改善策として全学年をドリトルで教えておられる。また、プログラミングではゲームを題材すると食いつきがよい。実際にゲームを作るなかで、自分の作りたい理想と、作れる現実のギャップに気が付いていくという。
また、音楽のネタは、音楽の授業になってしまう傾向があるという。
「ドリトルから入れば、プログラム嫌いにならなかったのに」という生徒の感想には説得力がある。

ドリトルの次の言語への敷居が高い(制約、決まり事、開発環境)ことが問題点として挙げられた。
しかし、2・3年生からは、「ドリトルをやったことで他の言語の文法や意味が分かるようになった」など、肯定的な意見が多かったという数値が示された。

まとめとして、上級生のプログラミング嫌いを「好き」に変えたことを考察して、
「他の言語(JAVA等)を経験してからドリトルのほうがよい?」という仮説を立てておられる。
つまり、「簡単→難しい」よりも「難しい→簡単→難しい」 のほうがのびるかもしれないという。

本校は中堅の学校で、スクイークのあとにJavaScriptを扱っているが、「アルゴリズム教育」と「文法を中心としたプログラミング教育」を分離することで、興味関心を持たせ、文法指導に集中することに成功していると自負している。
西野先生の次年度の研究実践の報告に、非常に興味がある。

大学の先生方からは、義務教育化している高校の現場でアルゴリズム教育・プログラミング教育を行うための大変さを理解していないお言葉を聞くこともある。「高校でのプログラミング教育に期待」する前に、広い視野で、「高校で『情報の科学』を選択する教員が増えるような工夫」を考えることが必要だ。

小原先生の発表■小原先生(都立町田高校)
「セキュリティの指導を視野に入れた『ネットワークのしくみとプロトコル』における体験的な学習について」

小原先生の発表はいつも歯切れがよく聞きやすい。今回はスライドも手が込んでいて素晴らしかった。
新カリでは「TCP/IP」「プロトコル」東京での「まなび」のメンバーで研究されてきた「紙パケット」の実習を報告してくださった。
今後の課題として、どこまで正確に教えるか、手間のかからない教材の工夫が挙げられた。

大学では、学問として厳密性を求めるのは必要だが、高校では「まず情報に興味を持ってもらうこと」に力点を置かなればならない。ここまで発表してきた高校の先生方は、生徒に興味関心を持たせるためにかなりの努力をしてこられたことがわかる。質疑では、高校で興味を持たせ、大学で厳密に教育していく、という連携と線引きの必要性が協議された。

増山先生の発表■増山一光先生(神奈川県立神奈川総合産業高校・情報セキュリティ大学院大学)
「SSH校における情報セキュリティを重視した無線LAN教育の実践」

同じ高校として考えられないくらい施設が充実した高校。増山先生のように熱心で力のある先生がいて、内田洋行(本校もお世話になっています)との連携で無線LANの実習を行っているので「鬼に鉄棒」というような実践だった。


■■デモンストレーション&ポスター(夕食後、19:15~20:45)
前半後半に分かれて、それぞれ5組の発表。ホテルの宴会場で、壁にポスターを張り、机を持ち出してという和やかな雰囲気。

野部緑先生の発表 東京電機大学土肥先生の発表

野部緑先生(大阪府立桃谷高校)は、2種類のダイヤル鍵を使ったデモンストレーションで「CSアンプラグドを目指した公開鍵暗号の授業」を報告。野部先生は本当に行動力とパワーのある先生で、見習いたいと思っています。

土肥紳一先生(東京電機大学)は、いつもスーツを着て笑顔を絶やさないお方。詳しく聞けませんでしたが、親子セミナーの実践報告。夏休み中に実施すると、「宿題」を目当てに参加者が増えるだろうと思いました。

谷川佳隆先生(千葉県立船橋豊富高校)は「タイルスクリプティング環境を利用したアルゴリズム学習の実践報告」というテーマで発表させていただいた。

デモンストレーションに参加してくださった先生 谷川先生の説明

私たちが共通して伝えたいことは

「プログラミングの文法」と「アルゴリズム」を分離して教えられるツールがあり、この利用によって高校生にも無理なくアルゴリズム・プログラミングに興味関心を持たせることができる。スクイークとスクラッチはその。また、高校教員に広く発信することで、新カリでの「情報の科学」を選択しようという教員を増やす効果が見込まれるということ。
後者については、神奈川の情報部会の研究会などで、具体的にアクションを起こしている。情報の免許所有者から、「高級言語でアルゴリズム・プログラミングを指導できない」という負担感を解放し、結果として「情報の科学」の選択について考えてもらっている。

谷川先生は紙芝居風のパネルを用意して、スクイークを中心に説明をされた。
私は、アルゴロジックのデモを中心に、このような学習の上で、コードを記述する言語で教えると、生徒の取り組みは良いことを報告させていただいた。

■21時~24時。研究討議(兼懇親会)
上下関係を感じさせないフレンドリーな雰囲気の中、いろいろな先生とお話しをさせていただきました。

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コメント

桃谷高校の野部です。
昨日はおつかれさまでした。
私の写真が載っているのに、コメントや感想がないのはさびしいです。

プログラミングについては、今年、総合学習でいろいろと試みました。また、これについてもどこかで発表できればいいなと思っています。

投稿: みどり | 2010年8月19日 (木) 10時37分

野部先生
お疲れ様です。まだ続きますが。。。
失礼いたしました。只今帰宅しましたので、これから加筆・修正します。
また明日、金沢でお会いしましょう。よろしくお願いします。

投稿: VX | 2010年8月19日 (木) 18時24分

静岡県立島田商業高校の柴田です。
全国高等学校情報教育研究大会の発表の様子、興味深く読まさせていただきました。
現在、私が担当している課題研究でネットワークをテーマにしているのですが
教材なしで授業しているので他校の様子を参考にしたいです。
都立町田高校の小原先生の「ネットワークのしくみとプロトコル」と
神奈川総合産業高校の増山先生の「情報セキュリティを重視した無線LAN教育の実践」
の発表内容についてもっと教えていただくことは可能ですか?
増山先生の内田洋行との連携についても知りたいところです。
学校では学科改変を検討しています。
現在、商業高校として「情報ビジネス科」を設置
していますが、教科情報の「情報科」も検討して
います。

投稿: 柴田 | 2010年8月29日 (日) 16時39分

柴田先生
コメントありがとうございます。
ご依頼の件については、発表時にリアルタイムで入力していたので、私からはそれ以上の解説はできません。申し訳ありませんが、両先生に直接お問い合わせいただいた方がよろしいかと思います。

投稿: VX | 2010年8月29日 (日) 21時27分

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