普通教科情報:新学習指導要領の勉強会
勤務終了後、新旧対照表を使って「社会と情報」「情報の科学」を読み解く勉強会
文科省のサイトでは新学習指導要領新旧対照表(PDF1.4MB)の245ページ(247/650)からが普通教科情報の内容。変更部分に下線を引き、注釈がついた資料をもとに2科目の概要を掴む。昨年の今頃は中学の技術・家庭科の勉強会を行なったが、その続編になる。
周知のとおり、新旧対照表では、「社会と情報」の隣に「情報C」、「情報の科学」の隣に「情報B」が比較されている。しかし、文言を読み解くことで、2科目がそっくりスライドしたのではないことが理解できた。どちらの科目にしても、内容は重くなっている。
各科目の目標について、新旧対照を記録しておく。下線は顕著な変更。
記載順に、「社会と情報」と「情報C」の対照。
【情報Cの目標】目標の対照と内容の対照から汲み取れることは、
情報のディジタル化や情報通信ネットワークの特性を理解させ、表現やコミュ二ケーションにおいてコンピュータなどを効果的に活用する能力を養うとともに、情報化の進展が社会に及ぼす影響を理解させ、情報社会に参加する上での望ましい態度を育てる。【社会と情報の目標】
情報の特徴と情報科が社会に及ぼす影響を理解させ、情報機器や情報通信ネットワークなどを適切に活用して情報を収集、処理、表現するとともに効果的にコミュ二ケーションを行なう能力を養い、情報社会に積極的に参画する態度を育てる。
- 「情報のディジタル化やネットワーク」が抜けて、「情報の科学」に移った
- 「コミュ二ケーション」ではコンピュータを効果的に活用する能力から、効果的にコミュ二ケーションを行なう能力を養うことにシフト
- 情報社会への参加について「望ましい態度」を「積極的に参画する態度」と踏み込んだ表現
- この科目では利用者側を育てることをより明確に
- 「情報」そのものを扱う
- 「コミュ二ケーション」は、「できることが前提」だったのが、「できるようにする」と問題があることを明示した
- 科目名にある「社会」が科目の特徴を象徴している など
【情報Bの目標】目標の対照と内容の対照から汲み取れることは、
コンピュータにおける情報の表し方や処理の仕組み、情報社会を支える情報技術の役割や影響を理解させ、問題解決においてコンピュータを効果的に活用するための科学的な考え方や方法を習得させる。【情報の科学の目標】
情報社会を支える情報技術の役割や影響を理解させるとともに、情報と情報技術を問題の発見と解決に効果的に活用するための科学的な考え方を習得させ、情報社会の発展に主体的に寄与する能力と態度を育てる。
- 「情報C」から「情報処理とネットワークの仕組み」が移り、第一の大項目になった。(「情報C」の一人勝ちか?)
- 「モデル化とシミュレーション」は内容の大項目から中項目に格下げ
- 「データベース」は「設計」を扱わず、「問題解決に活用できるように」する
- 情報社会の発展に「寄与する」側の育成を明確に
- 細かな指示を取り払った など
勉強会にて、私の述べた感想は
「情報C」から「情報処理と情報通信ネットワーク」が「情報の科学」に移り、「モデル化とシミュレーション」や「データベース」よりも高い扱いとなっている。今までこの2項目を教えられないとして「情報B」をさけていた教員もいるだろうが、「情報処理と情報通信ネットワーク」なら教えられるという場合も想定される。実習に配当する割合の提示を削除したことで、科目の目標をより深く実現する必要がある。「コミュ二ケーション」に関する指導を苦手とする教員は多いだろう。これらの理由で、現状の「情報B」よりは「情報の科学」の割合が増えると予想する。
本校は神奈川の中でも「情報科学系列」を第一にあげている総合学科なので、新学習指導要領になっても現状の「情報A」「情報B」の必履修選択制を引き継ぐだろう。つまり、「社会と情報」と「情報の科学」を共に設置する。
もっと細かく考察したいが、疲労気味なのでこの辺で。
6月末か7月には解説書が発行されるので、その時にも勉強会を行なえそうだ。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント