多摩美術大学情報デザインコース作品展 2008へ
昼から六本木AXISギャラリー、作品展「informa desegno できごとのかたち」に
多摩美術大学の情報デザイン学科の1年次から3年次までの演習やゼミの作品が展示され、学生が展示の前でプレゼンを行っている。同学科では、同時に原宿クエストホールにて卒業作品展multiを開催している。都合で両方は行けないが、教科情報を学んだ世代の作品展に興味があり、16時からの3名の教授による「情報デザインと情報デザイン教育」についての鼎談を聞くためにも、こちらの作品展に行くことにした。
Webサイトのトップに「情報デザインって何だろう?」と出ているように、まだ概念・定義が固まっていない。「情報デザイナー」という肩書きが使われていないことからも分かる。
会場入り口には「Interview: Information Design?」と題した学生へのインタビュービデオが上映され、パンフレットにもそれぞれのコメントが記されている。例えば、■人と人とをつなぐコミュニケーション手段です。■情報を分かりやすくだけじゃなくて、楽しく伝えること。■見えないものをかたちにする。■人とモノとの付き合い方を設計することかな。■コミュニケーションの場をデザインすること。■10年後ぐらいにわかる新しいデザイン。■全てのデザインに通じるもの。■目に見えない情報を、なんらかのメディアなり集めて分かりやすくデザインすることだと思います。■生活の一部。■哲学です。 などなど・・・
作品も本当に多様、さまざま。旅をガイドするグラフィカルなWebサイトの提案、街の地名でしりとりをする遊び方の提案、視覚的に検索方法のデザイン、というような作品のプレゼンを聴いてまわる。若いゆえに発想が豊かだと感じたが、教育指導の成果なのか。
いよいよ鼎談。左から、永原康史教授、須永剛司教授、宮崎光弘教授。須永先生は学科の創設時から、永原氏はこの2年、宮崎氏は半年前から多摩美で情報デザインを教えている。
テーマが「情報デザインと情報デザイン教育」であり、まだ抽象的なイメージしか持っていない学生たちが取り囲んで、まるで授業のようだ。
3人の教授も明確な定義はしないが、やり取りの中からニュアンスが伝わってくる。
■ディジタル技術の進歩により、新しい技術・ソリューション、そして新しいアウトプットが出てきた。この分野は生成・ジェネレイトし続けて終わりがない。3名の教授と数名の学生には、次の指導要領で情報科に「情報デザイン」という科目が出来ることを紹介した。すでに日本デザイン学会には伝わっているようで、今後の議論とカリキュラム作りについて、機会があればご尽力を賜りたい旨を伝えた。
■ディジタルな情報は密度と速度が増している。フィジカルな情報とも両立して考えていきたい。
■CUI>GUI>TUI(Tangible User Interface)と実体を持つ次世代のインターフェースを考えられる学生を育てるために、我々が背中を見せていかなければならない。
■ここ2年ぐらいの間、新しいプログラムを開発している最中である。
グラフィックデザインやプロダクトデザインにとどまらない「情報デザイン」だけに、10年たっても色あせないカリキュラムが出来て欲しい。教科が芸術ではなく情報なので、万人向きのデザインスキル(セオリーかな?)の提示を期待している。
【3/2追記】横浜デジタルアーツ専門学校の浅野先生のブログでは、多摩美情報デザイン科の2つの展覧会の様子が紹介されている。はしごされたようだ。
卒業研究制作展 2008「multi」
作品展 2008「informa desegno できごとのかたち」
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント