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2007年10月28日 (日)

ジョーシン07を終えて

昨日のエントリの続編

■まず、私の発表についての補足

シンポジウムの資料集用に提出した最終原稿(PDF:182.9K)と関東大会でインターンシップ生が発表に使った資料 (PDF:74.3K)をアップします。特に前者は、原稿の差し替えに間に合わなかったようなので。

この資料には含まれていないが、発表時のスライドで、神奈川県内の本校のような総合学科高校と単位制普通科高校の情報の科目設置状況を示した。情報A/B/Cの複数からの選択制と、専門教科情報の科目や学校設定科目からの自由選択制を取り入れている。そして、複数の学校で設置されている科目を挙げて、これらを、新採用教員に求められるスキル、つまり、教員育成の目標レベルとして提案した。

この専門教科情報の科目について大学の先生方に目を向けてもらうことが、私が意図的に盛り込んだことである。学会のいろいろなシンポジウムに参加しても、専門教科情報について話題になったことがないからである。

さらに、学習指導要領解説からの引用

 専門教科「情報」は、高度情報通信社会における情報関連人材の養成の必要性に対応するための教科で、情報産業と社会、課題研究、情報実習、情報と表現、アルゴリズム、情報システムの開発、ネットワークシステム、モデル化とシミュレーション、コンピュータデザイン、図形と画像の処理、マルチメディア表現の11科目から構成されている。
 普通教科「情報」の学習内容をより深めるために、専門教科「情報」の科目の内容が参考になる。また、「情報A」、「情報B]、「情報C」をさらに発展させた学習を行うために、専門教科「情報」の科目を履修させることも可能である。
を示した。情報科学・情報工学系の大学教授が「情報B」に期待していることが、実は、文科省は「普通教科情報」に求めず、「専門教科情報」に託していることが明らかである。

専門教科情報を教えられる教員を育成し、彼らが現場で科目開発していくことも期待している。学校設定科目で単位数を下げたり、短期集中講座で置くなど、時間割上の問題はいくらでも工夫できる。

■持論である「情報のAO入試を実施すべき」ということに絡めて。

AO入試をでは、受験生が与えられたテーマに向けて活動をするが、教員のサポートを受けることが大半だろう。このサポートする過程で、高校の教員のスキルが上がるという副産物があり、これを「狙い」としてAO入試の実施を期待している。

AO入試は、様々な内容が考えられる。しかも、一般試験を作問をするよりも、受験者数は確実だし、少ない労力で高い効果が期待できる。その上、テーマは受験産業が冊子にまとめて配布してくれる。

例えば、「○○を実現するためのアルゴリズムを考えて、発表する」という課題を与えるとする。
受験の条件として、「高校でアルゴリズム(もしくは相当する科目)を履修していること。または、8月○日~○日に本校で行うアルゴリズム講習会に参加すること。」とする。この講習会に、担当の情報科教員も参加しても良い、とすれば、現職教員の養成になお効果が高い。きっと、受験生は鍛えられて伸びるだろうし、専門教科の科目名を出すことで、高校への高度な教育の必要性をアピールすることができる。

偶然、この発想と似た試験に出会った。産業能率大学のキャリア教育接続入試である。本校の生徒も受験しており、3年次団の教員がかなり面倒を見ていた。つまり、このような形態のAO入試の効果は実証済みである。

■高大連携について

発表中にクリアーファイルを回覧し、インターンシップ取り決め書類と、授業の分担表、学生の成果物(新聞と三つ折チラシ)、学生のレポートなどを閲覧していただいた。特に、インターンシップ取り決め書類 (PDF:20.2K)は、都立駒場高校の天良先生から、参考になるとの言葉をいただいた。天良先生も高大連携の企画をされているので、今後も連絡を取り合っていきたい。

■情報科教員の予備軍と会いました。

すでに講師をされている常連の方々の他に、2名の方とお話をした。
一人は、夏のSSS2007で会った静岡県の大学3年次生。おみやげに、静岡県の採用試験の過去問題をいただいた。また、受けるように勧めた基本情報技術者試験には、合格しそうだという報告。ぜひ頑張ってほしい。

もう一人は、初めてお会いする社会人の方で、このブログを見て参加されたという。神奈川の1次試験には合格されている。2次試験の様子を教えていただいた。美術大学出身ということで、「情報デザイン」教育のホープとして期待できる。また、別の日にお会いする約束をした。

◆このエントリでアップしたPDFの印刷を希望される方はご連絡ください。パスワードをお教えいたします。

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コメント

先日は突然のお声かけにも関わらず、ありがとうございました。
今回のシンポジウムの講演者やパネラー、聴衆で、
実は肝心なところが抜けているな、と感じました。
それは、情報科教員を採用する立場の視点です。

文科省の方が基調講演を行い、
現場の高校の先生方と送り出す大学教員の方々、
そして私のような情報科教員の卵たちが集う有益な機会だったのですが、
採用する立場の本音を耳にする機会はほとんどないということに改めて気がつきました。

例えば教育委員会の方であったり、私学教員の方から、
情報科教員の採用に関する実情や、情報科教員に担って欲しいことが
仮に悲観的な話題であったとしても話に挙がることが
現実を見つめる上では必要なのでは、と私は思いました。

情報科教員を目指す者として、採用する立場の情報が少ないことが
不安材料となっています。
既に非常勤講師などされていらっしゃる方は
こうした情報をお持ちなのかもしれませんが、
この手の情報が少ないことが私自身の悩みでもあります。
私の年齢といった個人的要素もあるのかもしれません。

つぶやきにも近いコメントになってしまいましたが、今後とも宜しくお願いいたします。

投稿: ぴかりん | 2007年10月31日 (水) 12時30分

ぴかりんさん、コメントありがとうございます。

神奈川の2次試験の様子を伺えて、私も勉強になりました。
ジョーシン07については、不完全燃焼に終わった気がします。私は、本校と総合学科の情報教育のレベルを落とさないようにも、速やかな教員育成に必死ですが、大学の先生方はあせっていないようです。おっしゃるように、参加者に問題もありそうですね。教員を目指す学生も多くいれば、教授もまた違った顔をしたかもしれません。

投稿: VX | 2007年11月 1日 (木) 01時56分

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