前任校の卒業式
県立川崎高校定時制の卒業式に参加
18時まで情報部会の会合。その後、3年前まで務めていた前任校の卒業式に向かう。18時開式なので遅刻は明らかだ。
19時5分に到着。送辞が終わり、答辞が始まるところだった。県立川崎高校定時制では、4年で卒業する生徒は全員が答辞を読む習わしがある。そのために1週間ぐらいかけて原稿を書き上げる。1クラス規模の定時制ゆえの伝統だ。この答辞こそ、この卒業式のメインイベントだ。
まず、3年次生30名中の卒業生15名を代表して2名の答辞。1人は私より年配の女性で、さすがに大人の表現をする。次に、4年次生4名が全員ひとりづつの答辞を読み上げる。この4名全員が現役の中卒というのはめずらしいことだ。途中で学校を止めた仲間の話や、一年前に卒業した同級生への回想、学校を止めようと思ったこと、担任にしかられたことなどなど、けして上手い文章ではないが、思いのこもった言葉で表現する。聞く担任や読む本人が涙ぐむだけでなく、会場からはすすり泣く音がきこえる。この4名が私の知っている最後の生徒達だ、私も涙を隠せない。おめでとう・・・
この定時制は、年次集団の他に縦割のチュータークラスがある。つまり、1年次から4年次までの混合集団である。4月のバーベキュー大会や文化祭の出し物をこの集団で行っている。もともと規模が小さい学校の上、単位制なので年次を超えた付き合いが多い。卒業式には全校生徒が参加するが、1年次生からもひとことも私語は出ない。先輩達の後姿を見て、卒業することの価値を知っているからだ。
3年次の担任は新採用2年目の若い教員だ。以前からこの定時制の常勤講師だったので、採用時から2年次の担任を務めた。来年も卒業生を送りだすことになるが、この良い体験を連続してもてることは幸せだと思う。
進学校出身で、教職を目指す大学生にも見せたかった卒業式である。
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コメント
内藤は大学院モラトリアム課程2年の時に全日制普通科と定時制普通科の2校で非常勤講師をさせていただいていました。
定時制の卒業式を見ることはありませんでしたが、日々の授業は色々な意味で刺激的でした。仕事が忙しいのか、なかなか登校できない生徒さんもいました。一生懸命勉強するのだけれど・・・という生徒さんもいました。全日制から、間を置かず移ってきた生徒さんも。
色々な経歴があり、学力差もあり、意欲の向いている方向も様々でしたが、みんな気のいい人達でした。貴重な経験を【給料をもらいながら】させていただいたと思います。
当時2年生を1クラス担当していたのですが、卒業式の招待状は来たんだっけ?Nと〜が忙しくて行けないだけだったかな?行けばよかったと、この日記を読んで、思いました。
投稿: Nと〜 | 2007年3月 8日 (木) 06時46分
私自身が県立川崎高校定時制で卒業生を出していないこと、これは残念でしょうがありません。ですから、今回は招待状はありませんでしたが、自習的な参加です。
川崎には市立高校が5校あり、全て定時制を持っています。その為か、県立川崎高校は募集人員が35名の1クラス/学年規模の学校でした。それでも1学年は大変なので、1年のみ2クラスに分割して、2年から1クラスに合併するという時代に勤務していました。つまり、1学年の2担任の内、2学年に上がれるのは1名なのです。
私は1年の担任を4年連続で持ち、入口での門番役を務めていました。また、中学校との情報交換を密にしてきました。そして、やっと2学年の担任に持ち上がったところで、現任校への異動になりました。
6年間の勤務と、異動後の3年間の合計9回、この卒業式に参加していますが、教育の意欲を掻きたててくれる式です。Nト~さんも、チャンスがあったら参加してみたらよいと思います。
投稿: VX | 2007年3月 9日 (金) 00時56分