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2007年2月22日 (木)

「事業所訪問」の準備

入試が無事に終わり、入選委員長の「お疲れ様でした。今日は定時でお帰りください」との一言に拍手喝采。通常より2時間早く17時30分に学校を後にした。

めったに無いチャンスなので、横浜駅西口のホームページ制作会社アットライズを訪問した。
総合学科1年次の必履修科目「産業社会と人間」の事業所訪問の単元で、生徒の訪問を受け入れていただくことになったので、挨拶に伺った。服部洋二代表は打合せで席を外されていたが、7名程のスタッフが黙々と作業を進めていた。ここのスタッフは全員デジハリの卒業生であり、社長をはじめデジハリの講師やTAを兼職している方も多い。12月18日にはデジハリの授業の一環としても訪問した。顔見知りの方ばかりなので暖かく迎えていただいた。

この事業所訪問は例年秋に行ってきたが、来年度は時期を早めて6月に行う。時期を早めたのは、生徒に総合学科のシステムをもっと活用してもらうねらいがある。秋には進路や興味に応じた科目選択を考え始めるが、その前に事業所訪問やインターンシップ・ボランティアで社会を見る機会を多く設けたい。多彩な科目群からの履修計画指導や資格や校外学習へのチャレンジの指導に役立てることができるからだ。また、夏休みには4~5日のインターンシップを希望者対象に行うが、その前に1日の事業所訪問を行うことがステップになるはずだ。

昨年まで履修希望調査を9月に行ってきたが、今年は11月以降にした。
総合学科になって3年が終わる。そろそろ開講科目が読めてきたので、教員の教科別需給数も予想できるだろう。10月に県に教員の需給数を提出することの弊害から脱して、いよいよ総合学科らしくなりそうだ。

この校内改革については、普通科のシステムを転用してきた教務部と、新しいシステムを推進する総合学科推進部との議論がまとまったもの。と判断しているが、神奈川の第1号総合学科「大師高校」から異動してこられたN先生の並々ならぬご尽力の賜物である。「ゆとり」=「総合学科」と勘違いされる向きもあるが、総合学科の生徒は本当に忙しい中で、確実に鍛えられていく。(教員も鍛えられていく)

来週、3月2日は卒業式。総合学科に来て鍛えられた生徒の旅立ちを慶びたい。

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コメント

総合学科の特徴は
 ①多種多様な選択科目を持つ
 ②それの柱となるガイダンス機能を持つ
の2点に尽きるとよく言われます。
「産業社会と人間」は②の中心であり、
まさに総合学科の「要の科目」です。
自己を知り、職業を知り、他者との関わりを
通して、将来の職業選択やライフデザインを
考える、ことを軸に科目選択を考える、のが
「産業社会と人間」の命題であろうと
私は考えます。

30年ほど前になりますが、アルビン・トフラー
は「第3の波」で情報化社会の到来を予測しました。
その予測は正しかった部分と違った部分がありましたが、
トフラーはこの著作の中で社会の現状に人々の意識が
ついていけないタイムラグのようなズレが様々な問題を
引き起こすことを指摘しています。

トフラーのこの指摘は総合学科を誕生させた時代背景
(社会の状況)とそれにも拘わらず存在する
意識のズレが生じることに関しても言えるかと思います。

神奈川県で総合学科が誕生してから11年がたちました。
この11年でも社会の状況は変化をしましたが、人々の
意識とのズレはどうなっているのでしょうか。

「第3の波」はもう古典といってもいいくらいの扱い
ですが、古典は往々にして様々な示唆を現在の私たち
に与えてくれます。

投稿: HIRON | 2007年2月25日 (日) 20時31分

HIRONさま、コメント有難うございます。

「総合学科」に対して教員の意識のズレは日々感じています。また学校や県によっても違うようです。神奈川の県立総合学科の特徴として、農業高校や商業高校・工業高校からの再編ではなく、普通科の統廃合によって生まれたもの。これが、活力を生み出す場合もあり、学校の柱が定まらないこともあります。いずれにせよ、かなりの部分をマンパワーに委ねられており、管理職がリーダーシップを取れない場合は、学校全体が普通科高校寄りにひよってしまうようです。
総合学科では、教えたいことのある教員にとってはやりがいがあります。また、その背中を見て生徒が活きてくるはずです。そう思って、頑張っています。

投稿: VX | 2007年2月25日 (日) 22時40分

VXさま、興味深く読ませていただきました。

「総合学科の10年」と言われます。
1993年に総合学科創設を謳ったいわゆる「4次報告」が
出され、1994年に最初の総合学科が筑波大学付属坂戸高校などに設置されました。それから現在までを「総合学科の10年」と称しているようです。

10年で何がどう変わったか?については様々な検証がこれからも必要だと思いますが、ひとつには、アリストテレス以来の学問体系を基礎にした(あるいはデカルト以来、と言った方が正確かもしれませんが)教科学習を極端に片寄って教えていた学校と教員が、総合学習、いわば社会や世界が共通して取り組むべき答えのない課題への学習、に初めて本腰を入れて取り組み、成果を出していったと言う点があると思います。つまり、環境や人権や国際、福祉、などの分野についての学習です。

これからの学習は体験学習から学ぶのが有効であり、しかも「答」のない科目と言えます。これまでの教科学習には一定の「答」がつきものですから、「答」のない、しかも体験的に学ぶこれらの学習は旧弊に縛られていてはなかなか創りあげることが困難です。

「総合学科の10年」で新たに獲得した環境・人権・国際・福祉などの豊かな学びをさらに確実なものとするためには、やはり最後は「人」の問題になっていくのでしょうか。

そんなことをあれこれと考えました。

投稿: HIRON | 2007年2月27日 (火) 23時22分

HIRONさま
総合学科創設時の原則必履修科目は「産業社会と人間」・「情報基礎」・「課題研究」の3科目でしたね。現在は「情報基礎」が「普通教科情報A/B/C」で代替されていますが、早い時期から『情報活用能力』を基盤に置いていたことが分かります。全国的にも成功している学校ではこの『情報活用能力』が、「産業社会と人間」「課題研究」以外にも様々な科目の教育活動を活性化しています。
本校に昨年まで勤務されていた小島淳子先生は情報部会の部会長を務める傍ら、全国の総合学科の牽引者と交流を深めてきました。この環境で育まれてきた清陵の「情報」は「人」と「人」とのコミュニケーション能力や、協同能力の育成を大切にしています。常に「発表・発信」をしながらプレゼンのスキルも高めています。形にはまりすぎないように注意すべきですが、まずは一定水準のことができてから、3年をかけてオリジナリティを引き出していくように心がけています。
創立3年目を終え、これからが柱がしっかりした総合学科高校になるかどうかの分岐点です。いろいろと不安要素もありますので、他の総合学科との連携活動も積極的に行いたいですね。

投稿: VX | 2007年2月28日 (水) 01時30分

VXさま、さすがによくご存知で考えていらゃっしゃると感服です。

「情報」は科目(系列)であると同時に、総合学科全体に張り巡らされた血管のようなものじゃないかとかなり以前から感じていました。では、その中を流れる血液は何かなと。

初期の総合学科の原則履修科目が「産業社会と人間」・「情報基礎」・「課題研究」であったことは様々な意味がありますが(このあたりは当時の専門学科と比較して考察すると気がつく点が多々あります)、情報に限らず現在ではこうした総合学科で始まった学びの多くが普通高校や専門高校に還元・拡大されています。総合学科が「高校教育改革のパイオニア」と言われた所以です。

では総合学科的な高校が増加したので(あるいは敷衍したので)総合学科の使命は終わったかと言うと、それは逆で益々総合学科の使命は高まっていると思います。

そのあたりの答はこの10年余りの総合学科の実践とこれからの社会のありようから、総合学科に勤める教員自身が考えていかなければなりませんね。
そこと現実との間にもにもトフラーのいう「ズレ」を感じないわけではありませんが・・・

投稿: HIRON | 2007年2月28日 (水) 22時35分

職業観を持った教育活動として、インターンシップ活動は、横浜清陵総合では3年目を終えて受け入れ先の開拓も、生徒の指導体制も固まってきました。
しかし、文科省が平成20年度までに全ての高校にインターンシップ制度を導入するという方針を立てました。総合学科の特色が埋もれてしまいます。そして、誰もがやるようになると、参加するに当たって緊張感が薄れてしまったり、受け入れ側も事務的になってしまいます。さらに、全ての高校による受け入れ先の開拓はパイの奪い合いになりそうで心配です。

きっと総合学科には、次の新しい形の体験的学習形態の開発が期待されるのです。

投稿: VX | 2007年2月28日 (水) 23時55分

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