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2006年12月18日 (月)

学校教育におけるキャリア教育

シンポジウム「学校教育におけるキャリア教育ー今、なぜキャリア教育かー」 

午後、神奈川大学セレスト・ホールで開催された表記のシンポジウムに参加した。
神奈川大学高大連携協議会主催の企画。企業や高校の教員で参加者はざっと200名は超すだろう。高校からの参加は、ほとんどが新タイプ校のようである。文科省の初等中等教育局児童生徒課進路指導調査官による基調講演は、参加者にとってとりたてて目新しいことはなかったが、私見を交えることができない立場上しかたがないだろう。とにかく、職業科や総合学科が行ってきた職業観の育成を全ての高校が行っていくということだ。

続く2件の講演はおもしろかった。
「神奈川大学におけるキャリア教育の取り組み」として学修進路部長から、今年から始めたキャリア教育のプランの紹介があった。FYS(ファースト・イヤー・セミナー)という1年前期の必修科目に加え、これから3年まで半年毎のキャリア形成科目とインターンシップを設置するという。なにやら総合学科の「産業社会と人間」とその後の科目の大学バージョンという感じだ。学生は楽しんで授業を受けているというが、普通科高校の出身者はともかく、総合学科などの出身者は「またか」と感じるのではないだろうか。今後、中学/高校/大学とキャリア教育が展開されることになるのだろうが、各段階での完成度がバラバラなままでは学習者にとって魅力的なものになるのだろうか?(情報に置き換えれば容易に想像できる)文科省はいかにカジを取るのか、ということを基調講演で聞きたかった。

次の講演は、神奈川に基盤を置く日産自動車生産人事部の「当社におけるキャリアマネジメント(自律キャリアに向けて)」。社内の人事マネジメント方針として、コンピテンシーを軸にした4つの取り組みを紹介していただいた。取り組みはともかく、「コンピテンシー」とは、高い業績をあげている社員の行動特性(成果につながる行動特性、スキル、知識)のことで、「育成・キャリアアップの道しるべ」・「評価基準」として活用していくというのである。おもしろかった話は、キャリアのあり方は「筏下りから山登りへ」という例え。荒波を筏で乗り切る「筏下り型」は当面の目標に全力投球する中で基礎力を磨いていく段階で、出会いや経験の中から自分の道を見いだす過程。「山登り型」は自分の進む道をひとつに絞りそのゴールに向けて全エネルギーを集中する段階で、プロとしての階段を上ること。この2つの型の説明の後、次のカルロス・ゴーン氏の言葉を引用する。

『失敗のなかにこそ成功の芽がある。失敗するともうだめだと落ち込んで、会社を辞めてしまう人もいますが、それは間違いです。最初から成功する人はいません。勝利を手にするのは、「失敗は成功の元だ」と考えられる人です。勝ち方を学ぶためには、失敗を経験することも必要です。(つまり筏下り型のこと)本当にしたいことが、自分でも少しわかってきたのは、就職したからでした。ですから皆さんも、現時点で将来に対する明確なビジョン(つまり山登り型)がないからといって焦らないでください。例え大学や就職先を選ぶときに、これといった青写真がなくても、大いに成功する可能性は十分にあります。自分が何をしたいのか、どんな企業で働きたいのか、そのうちにおのずとわかってくるものです。私の場合と同じように、さまざまな経験を重ねていくうちに見えてきます。』

なるほど、高校でのキャリア教育も「卒業後に何をしたいか決めてないとダメだ」と押しつけてはいけないのだと解釈した。中学では高校を選ぶために、高校では進学(就職)先を選ぶために、大学では就職先を選ぶために、いつもいつも先を見通すことを強制していては、人生の途中で疲れ切ってしまうだろう。多くの方面への知識と理解は必要だが、焦らせてはいけないということを学んだ。

講演者3名に、ベネッセコーポレーション大学事業部担当部長と神奈川県の総合学科高校の第一牽引者である矢向寛横須賀高校校長を加えた5名でパネルディスカッションを行った。10年以上のキャリア教育の実践を行ってきた矢向先生の話には確かに説得力がある。本日の参加者の多くが総合学科をはじめとする新タイプ校の教員と管理職であるのは、矢向先生の参加の影響かもしれない。

さて、総合学科高校の特色である「職業観を持った教育」を、どの高校でも行うようになったとき、総合学科高校は何を特色とすればよいのか?多彩な科目群にたよるのであれば、教員が科目指導力を一層みがかなければならない。また、大学でのキャリア教育はどうなるのであろうか? と、数年後の心配をしてしまった。
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